《メカ描写は良いのだが、キャラ描写が最悪な【タクティカルロア】》

 【タクティカルロア】第1話を視聴した。
 5段階評価で、4。但し、それはメカのデザインや戦闘シーンの評価を加味した場合である。キャラクター造形では、問題外である。正直書いて、引いた。ビデオで録画したものを見たんだが、一部早送りをした(主人公らしい男性が登場し、女同士の追跡劇に巻き込まれる辺り)。まあ、キャラクターデザインも俺の趣味ではないのも一因だが…。
 民間団体による軍事組織の運営や、女性ばっかりの状況に巻き込まれる男性、これらは既存の作品にも使われる設定である。前者はともかく、後者は俺には相容れない。俺は、そもそもその類いの物には興味をほとんど――少なくとも同世代の近い趣味の人間の水準からすると全く――持っていない。俗に言う“美少女ゲーム”は全然持っていないし(持ってるゲームは、ACとかACPPとかACMOAとかAC2とかAC2AAとかAC3とかAC3SLとかACNXとかACLRとかAC4とかAC5とかだし……)。
 そもそもこの作品のターゲットは、どういう層を想定しているのか。多少疑問に思う。メカと美少女を絡ませて成功した作品は、過去に枚挙に暇が無いくらい存在する。俺個人の永遠の名作【ガルフォース】や【メガゾーン23】や【マクロス】シリーズもそうである。全話視聴したわけではないが続編が継続して作られていることから【ストラトス4】も成功したと見ていいだろう。【フルメタルパニック!】は言わずもがなだ。
 だが、だからといって、過度に“美少女”の魅力に走るのも問題である。あまりにも“萌え”に寄った演出をした場合、逆効果になる可能性が大きい。
 【サブマリン707】OVAは、正にその悪しき例である。あの作品のファン層は、“萌え”だの“美少女”だのには全く無縁だった。しかし、作品ではその種の演出やキャラクターが出てきていた。おかげで、評価が落ち、結末は描かれぬまま未完に終わった。
 【タクティカルロア】もそうならないことを祈りたい。というか、メカ――とくに艦船のデザインとキャラクターのミスマッチも甚だしい。
 メカ自体は、そのデザインといい描写といい及第点を与えたくなる出来である。特に主役艦のデザインは秀逸である。現用海軍の〔むらさめ〕級駆逐艦を近未来にシフトしたようなこれは、これまでのアニメーションに登場した水上戦闘艦で――水上艦形宇宙艦(宇宙戦艦〔ヤマト〕とか)も含めても――屈指の艦形美を持つ艦である。旅客機は、結局開発中止となったボーイングソニッククルーザーをモデルにしているようだ。ミサイル戦もその描写も、決して悪くはない。
 そう総体的には、決して駄作とは言えない。ただ、キャラクターの描写に問題が在りすぎている。あまりにも何かに媚びすぎている。俺がそう言うものを好きではないのでそう思っているのかもしれないが、それが鼻に付きすぎている。付きすぎてかえって目障りだ。